ドル/円相場は、88円台前半まで値位置を切り上げている。昨年からのドル買い・円売りの流れを引き継ぎ、2010年7月以来のドル高・円安水準を更新している。1月3日に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(12月11~12日)が、量的緩和政策の継続期待を後退させたことも、ドル/円相場を一段と押し上げる要因になっている。
FOMC議事録では、「幾人かのメンバーは、金融の安定もしくはバランスシートの規模を巡る懸念から、年末よりかなり前の時点で資産購入野縮小なり停止が恐らく適切になるだろう」と記されてる。これまでの量的緩和政策の効果を認めるも、バランスシート拡大の負の側面にも政策担当者の関心が高まり始めていることが確認できる。これが直ちに出口の検討を意味するのかは別問題であるが、早ければ年央にも量的緩和第3弾(QE3)が打ち止めになるとの警戒感が広がっている。これは米金利の上昇を促しており、従来の円売りにドル買いが加わったことが、ドル/円相場の上げ幅拡大に寄与している。
一方、4日発表の12月米雇用統計であるが、非農業部門就業者数は前月比+15.5万人(市場予測は+15.2万人)となり、増加トレンドを維持した。ただ、失業率が前月と変わらずの7.8%と高止まりする中、FOMC議事録を受けての緩和期待後退の動きに一定のブレーキが掛かっている。ただ、ドル買い・円売りの流れに歯止めを掛ける程にネガティブな数値ではなく、ドルの押し目買い基調に修正を迫るのは難しいだろう。22日の日本銀行金融政策決定会合では一段と緩和圧力が強まるとの期待感も強い。
今後1週間の予想レンジは、87.00~90.00円。